埼玉県で医療器械の製造開発を行っている株式会社興伸工業(以下、興伸工業)は、吸引器で多くのシェアを持っている会社である。創業以来特許出願を行ってきたが2年前に依頼する特許事務所を変更した。
興伸工業が特許事務所に求めるものとは何か、特許事務所を変えたことで何が変わったか等について、株式会社興伸工業 取締役専務 熊田健司氏にお話しを伺った。
もくじ |
1. 株式会社興伸工業の業態
2. 開発した技術を使用された時の逸失利益を守るために
〜特許出願の意味
3. 馬場特許事務所に替えた理由
〜「話しやすいこと」
「文章がわかりやすいこと」
4. 馬場国際特許事務所の評価点
5. 評価1「文章が読みやすい」
〜特許出願にとってなぜ【わかりやすい文章】が重要なのか
6. 評価2「一通り説明しただけで理解してもらえるところ」
〜あとはお任せできる安心感
7. 評価3「あいまいなアイディアを一緒にふくらませて形にしていく能力」
8. 今後の期待 |
― 株式会社興伸工業について教えてください
株式会社興伸工業は1979年設立の医療機器の開発・製造・販売を行っている会社です。 埼玉県さいたま市に本社と工場、上尾市に開発部と品質保証部、工場があります。
主に製造しているのは吸引器と乳児保育器で、吸引器では多 くのシェアをいただいております。少数精鋭で小回りがきく会社を目指しています。
― 興伸工業が特許出願を行っているのはどのような技術ですか?
興伸工業では、約20年前から特許出願を行っており、主に出願しているのは吸引器関連です。
出願のきっかけは、製品開発時、特許関係を調べているときに、「あれ?この特許と同じ頃、うちの会社でもこの技術を考えた。あの時出願しておけばよかった」と思うことが1度ならずあったことです。それからは、新製品のプロジェクトを立ち上げるとまず最初に特許調査をし、出願をした方が良いと判断すれば出願をするようにしてきました。
― 興伸工業にとっての特許出願はどのような意味があるのでしょうか
まだ形にならない斬新なアイディアを形にすること、形にしたアイディアを保護するという意味があります。
― 特許出願の費用対効果はどうお考えでしょうか
特許出願は費用をかけてまで行うものなのかどうかと考えたことはあります。費用対効果はわかりにくいし見えにくいものですが、実際に他社に同じ製品を販売された時の逸失利益を考えると、特許出願の効果は大きいと考えています。
― 馬場国際特許事務所にはどのようなことを依頼されましたか
馬場国際特許事務所には、2年前に吸引器の液面監視に関する特許出願のときに相談したのが最初で、その後ネブライザーに関する特許出願でも相談と出願を依頼しました。
長い間依頼してきた特許事務所があったのですが、特許に関する担当者が私に代わったことをきっかけに、馬場国際特許事務所にお願いするようになりました。
― 特許事務所を変更した理由はどのようなことでしょうか
変更した理由は、1つには、以前お願いしていた特許事務所は都心にあり出向くのに時間がかかっていたこと。もう1つは、より気軽に相談できる特許事務所があったらいいなと思っていたことです。探していたら大学時代の友人から紹介され、自分でもホームページを見て「ここなら」と思ったのでメールで相談の依頼をしました。すぐに返信をもらいました。
― 馬場特許事務所はどこがよかったですか
「話しやすいこと」と、「読みやすい文章を書いてくれる」ところです。
それまで私が抱いていた特許事務所へのイメージは、「かた苦しい」「特許出願の文章が読みにくい」というものでした。 馬場特許事務所は、みなさん雰囲気がやわらかくて、そんなに構えなくても相談に行ける敷居の低さがあります。相談をしていても、専門家にありがちな難しい言葉の羅列もなく、自分の言葉で説明すればいいので気が楽でした。
そして文章についても、特許の文章は難しい方がいいのかもしれませんが、自分で特許調査をしていても読みにくい文章が多くて困っていたので、馬場特許事務所の文章は読みやすくてありがたいです。
― 馬場国際特許事務所の評価すべき点を教えてください
評価しているのは以下の3点です。
1、特許出願の文書が読みやすいところ
2、開発した技術について一通り話すと理解してくれて、
あとはお任せできること
3、特許出願できるかどうかわからないあいまいなアイディアを一緒にふくらませて形にしていってくれるところ
― 順にお尋ねします。評価する点の1番目「文章が読みやすい」とは具体的にはどういうことでしょうか
馬場特許事務所に依頼する前に1回だけ依頼した特許事務所がありました。その弁理士の書いた出願文書は理解が困難でした。請求項と図面と他の資料も全部見ないとわからないんです。自分が開発設計したものなのに、文章を読んだだけではどんなものか想像がつかないんです。開発者である私が理解できないのだから、誰も理解できないでしょう。
表現がわかりやすいということは大事だと思います。我が社のような、特許に疑義が生じて裁判になったときに、そこにかける費用と時間が大きなリスクになるような会社にとっては特に。
― 馬場特許事務所所長に聞きました ―
Q:特許出願時に提出する資料がわかりやすい、わかりにくいということはどのように関係してくるのでしょうか。
A:まず、審査も人が判断するものなので、読みやすいものは心証がいいということがあります。次に、内容がわかりにくいものは、権利になった後も紛争が起きやすいですね。文章がわかりにくいために、自身の発明が特許を侵害しているものかどうかが判断しにくいわけです。当事務所では、疑義が生じない書類をつくることを心がけています。文章がわかりにくいために、特許を侵害しているかどうかを判断する裁判になったらムダな時間と費用がかかります。表現がわかりやすい出願書類を作成することは大変重要なことです。特許文書が専門的な文章であるとはいえ、開発した技術者でさえわからない文章というのは論外であろうと考えます。 |
― 評価する点の2番目「一通り説明しただけで理解してもらえるところ」とは具体的にはどういうことでしょうか
ここは弁理士の先生の力によるところだと思います。
馬場さんは、最初に図面を持っていってお見せしながら説明しただけで理解してくださいます。
あとはお任せすれば大丈夫です。
特許関係の専門部署がある会社ならともかく他の業務も兼任している会社の場合は、最初に要件や内容などを全部お話しして、後はお任せできるというところは非常にありがたいです。
― 評価する点の3番目「あいまいなアイディアを一緒にふくらませて形にしていく能力」とは具体的にはどのようなことでしょうか
私が先生に特許出願の相談をするときの話の持っていき方というのは、「これを特許にしてください」というはっきりした状態ではなくて、「この辺は新規性がありそうなんですが、どう思いますか」という相談ベースが多いんですよ。「このあたりの技術は他の会社ではやってないですよね」という状態で持っていくのがほとんどです。
そうすると、馬場さんがその曖昧模糊とした部分を特許の特徴となるようふくらませてくれて、わかりやすい表現で専門的な特許の文書にしてくれます。その辺が能力的に優れている弁理士さんです。
― 馬場国際特許事務所に今後期待するところがあればお聞かせください
先代の社長がアイディアマンで、いい意味での職人でした。それを引き継いで、どんどんアイデアが生まれてくるような会社にしていきたいと思っています。
今後、馬場さんには開発の段階からアドバイスをもらえるような関わりをお願いできれば、我々の開発ももっと進んでいくだろうと期待しています。
それと、海外で製造されている製品で我々の特許に牴触するものを見受けます。馬場さんは国際特許も扱っておられるので、将来的には海外で製造されているものに対する対策も行いたいと思っています。その節はよろしくお願いします。
いずれは原理特許をとりたいという夢も持っておりますので、これからもよろしくお願いします。
お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。